2016年12月11日日曜日

バキュームブレーカー 逆サイホン作用を防止

ビルメンの日常や資格勉強についてだけつづってもつまらないので、実務の中で知っておいたら便利かなという情報をたまに欠いていきたいと思います。

まずは「バキュームブレーカー」です。ビル管の勉強をしていると、「バキュームブレーカー」という装置について問う問題が出てきます。

これは逆サイホン作用を防止するために設けられるものです。

逆サイホン作用とは、水を吐出する給水管内の圧力が低くなることで、一度吐出された汚い水が逆流してしまう現象を意味します。

水というのは、圧力の高いところから低いところへ流れる性質を持っています。なので、何らかの影響で給水管内の圧力が低下すると、汚い水が逆流してしまう可能性があるのです。

大便器を例にとると、用を足した後に、水を流します。問題なく流れればいいのですが、逆サイホン作用が働いてしまうと、汚物を含んだ汚い水が給水管の中に逆流してしまいます。つまり、水道水系統が汚物で汚染されてしまう可能性があるのです。

それは大問題ですよね。そこで、そういった状況にならないように、大便器にはバキュームブレーカーというものがつけられています。この装置は、給水管内の圧力が低下した場合、逆流を防止するために吐出口にフタをしてしまいます。また、フタをすると同時に、配管内に空気を取り入れます。こうすることで、逆サイホン状態になっても、汚物が配管内にとどまらずに流れて生きます。

ここで、フタをして逆流を防ぐのはわかるけど、空気を取り入れるのはなぜ?と思われる方もいるかもしれません。フタをしただけだと、フタと汚い水の間は真空状態もしくはそれに近い状態になります。そうなると、汚い水はフタの近くにとどまったまま動きません。例えば、ストローで水を満タンまで吸込み、口から話したらすぐに吸込み口を指でふさいでみてください。ストローの中の水は落ちていきませんよね。それと同じ理屈です。

そこで、フタと汚水の間に空気を入れてやれば、汚水はスムーズに流れていきます。そのために、逆流防止のフタをするだけでなく、配管内に空気を取り入れる構造が必要になるのです。

言葉だけでは、わかりにくいですよね。そこで、画像と動画で説明します。



これがうちの現場にあるフラッシュバルブの全体図です。



赤丸の部分がバキュームブレーカーです。水色が給水管の水の流れです。



ピンク色の部分が逆流防止用のフタです。逆サイホンがおきてないときは、逆流の心配はないので、フタが開いています。青色が水の流れです。



逆サイホンがおきた場合の例です。ピンク色のフタが閉まり、汚水の逆流を防止します。ちなみに、水色は空気の流れです。バキュームブレーカーをぐるりと囲むように空気を取り入れる口が外側についています。そこから、空気を取り入れ、真空状態を解消するわけです。「真空=バキューム」、「解消=ブレーク」なので、バキュームブレーカーと呼ばれるんですね。



これはバキュームブレーカーを上から見た画像です。フタが空いていて、下まで貫通しているのがわかります。



これはバキュームブレーカーを下から見上げた画像です。フタ開いているときの状態です。



これは同じくバキュームブレーカーを下から見上げたときの画像です。フタがしまっています。画面上の穴から空気が入ってきます。


以上が、うちの現場にあるバキュームブレーカーでした。これは配管の途中に取り付けられる省スペースタイプのものです。学校の和式便所とかには、以下のシーソータイプのものがついていることがありますが、原理は同じです。逆サイホンが発生したら、フタをして空気を取り込む。逆サイホンが発生しないときは、フタが開いて水が流れる。赤丸部分がバキュームブレーカーです。左側の出っ張ってる部分が空気取り入れ口です。水が流れるときは、シーソーのように吐水口のフタが開くと同時に空気取り入れ口のフタがしまります。逆に、逆サイホンが発生して、吐水口のフタがしまると、今度は左の空気取り入れ口のフタが開き、汚水の逆流を防止すると同時に、空気を取り入れます。下の構造図の状態は、左の空気取り入れ口のフタが開いているので、逆サイホンが発生しているときの状態を表していますね。





動画も貼っておきます。

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