排風機といっても、大型のものから小型のものまでありますが、今回は小型のものです。
したがって、交換するVベルトもA37という小さいサイズのものです(画像参照)
さて、Vベルトの装着方法には2通りあります。1つは、強引にグイッとはめる方法。これは、一方のプーリーにVベルトを装着し、片方のプーリーの溝にVベルトの一部をはめ込み、力技でぐいって回します。そうすると、簡単に装着できます。
従来は、この方法で取り付けていました。しかし、あるとき、排風機のメーカーであるテラルの職人さんにこの方法で問題ないか訊いたところ、問題大有りだそうです。
直径が2~3メートルあるような大型のVベルトの装着(例:冷却塔のファン)なら、遊び(たわみ)がかなりあるためこの方法でも問題ないそうですが、今回のような直径の小さなVベルトの場合、遊び(たわみ)が少ないので強引にはめるときに、モーターやファンのベアリングに瞬間的に大きな負荷がかかり歪むそうです。そのため、Vベルトの交換でベアリングが痛んでしまう可能性があるのでやめたほうがいいといわれました。
そこで、私がやっているのはもう1つの方法です。それは、モーターを土台に固定しているネジを緩めて、モーターをずらし、モーターとファンの距離を縮めます。そして、この状態で、Vベルトを装着します。距離が近くなっているので、Vベルトはゆるゆるで、大きくたるんでます。なので、負荷をかけることなく、Vベルトは装着できます。
問題はこの後です。モーターとファンの距離を元に戻し、排風機の説明書に指示してあるレベルまで、Vベルトを張らなければなりません。テンションゲージを使って、測りますが、テンションゲージがない場合は、目分量で。私はテンションゲージを使いますが、目分量でやる場合には、Vベルトの真ん中あたりを押してみて、Vベルト2本程度凹むくらいがちょうど良いと聞いたことがあります(記憶が定かではないので、自己責任で)。
また、単にVベルトを所定のレベルまで張ればいいというものではありません。この方法だと、プーリーの芯出しをしなければならないのです。芯出しとは、動かしたモーターの位置を歪みなくきっちりと設置することです。言葉で説明するのは面倒なので、以下の動画を参考にしてください。
この芯出しをきっちりしないと、プーリーやベルトの痛みが早くなります。
今回の排風機は、動画にあるような大きなものではなく、小型なので芯出しを1人でできますし、また、水糸を使わずとも、定規でできます。
上の画像は、素人に毛が生えたような私が、定規を使って、適当に芯出ししているところです。Vベルトが多くの機械で多用されているのは、芯出しの精度が多少低くても問題ないということです。
これがポンプのカップリングの芯出しとかだと、寸分の狂いも許されません。狂っていたらすぐに高価なポンプが故障します。なので、ポンプのカップリングの芯出しは職人技といわれています。実際に、業者さんがポンプのカップリングの芯出しをしているところを何度も拝見しましたが、コンマミリ単位で調整していて凄いなと思いました。
さて、Vベルトであれば芯出しの精度が低くても良いと書きましたが、場合によりけりです。下のサイトにあるように、Vベルトが3本かかっているような場合は、多少の傾きでも大きな影響が出てきてしまいます。幸い、私が今回交換するVベルトは1本がけ、しかも、小型。つまり、もっとも芯出しが簡単な部類の排風機だということです。
http://www.tts-inspection.com/ja/maintenance/1008maintenance_21j.html
芯出しも終わり、Vベルト装着完了です。装着前と装着後の画像が以下。
【装着前】 【装着後】
以上、Vベルトの交換でした。設備をやっている方なら、いずれ経験すると思いますので参考になれば幸いです。もっとも、低レベル設備員の私の言っていることですので、間違っている部分があるかもしれませんが、その点はご容赦ください。
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