平成25年に労働契約法が改正され、有期雇用契約の契約期間が5年を超えたときは、労働者からの請求により無期雇用に転換させることができるようになりました。
今年で平成29年ですので、来年から無期雇用化される人が増えることが想定されます。
さて、よく誤解されがちなのが、この規定により、「契約社員が正社員になれる」というのは間違った認識です。
確かに、企業によっては、契約社員の契約期間が5年を超えたときは正社員にするという制度を設け始めたところもあります。しかし、労働契約法ではそこまでの義務を企業に課してはいません。
労働契約法が企業に課しているのは、5年を超えた有期雇用社員を「無期雇用社員」にするということまでです。
例えば、厚生労働省のサイトに掲載されていた例を挙げると、オタフクソース株式会社では今回の改正に備えて、5年を超える契約社員を「社員」ではなく、「準社員」にするという制度を新たに設けました。これは、「準社員」は社員と同様に無期雇用だけど、社員とは給与体系が違うことを意味しているのだと思います(間違っていたら、ごめんなさい)。
実際、私が以前いた設備管理会社でも、就業規則を改正して「無期雇用社員」という制度を新たに設けました。有期ではなく無期だけど、給与体系は有期雇用と同じというものでした。具体的には、正社員とは異なり昇給がなくボーナスもない、無期契約の社員という位置づけでした。
従って、全ての企業で、契約社員が正社員化されるわけではありません。
ただ、有期雇用が無期雇用になるというのは、地位が安定しますので、労働者にとってはありがたい話だと思います。有期雇用であれば、契約打ち切りのハードルは低いですが、無期雇用であれば十分な理由がなければ解雇できず、解雇のハードルはかなりあがります。労働者の地位は安定するでしょう。
逆に、会社にとっては、やっかいな制度です。多くのビルメン会社には、契約社員の契約書に「現場がなくなった場合には、契約を更新しないものとする」という一文が入っています。これが通用しなくなるのですから、やっかいです。
これに対抗して、某独立系会社O社では、就業規則を改正して「契約社員の契約更新の上限を5年とする」という条項を新たに設けました。要は5年経ったら使い捨てるということです。こういう会社が増えてくると、労働者保護のための法改正のはずが、逆に労働者の地位を不安定にするのではという指摘は以前からなされていました。
果たして、今回の法改正は労働者にとって吉と出るのか、凶と出るのか。来年以降の動向に注目していきたいと思います。
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